AIのチームプレイ、パワーアップ版 会話の途中で「これ、設計に投げて」と言うだけで別のAIが動き出す
以前、「Claude Codeを複数のセッションに役割分担させて並列で動かす」という記事を書きました。
Claude Codeを複数セッションに役割分担させて並列実行する方法
ターミナルのタブをいくつも開いて、それぞれに「あなたはフロント担当です」と役割を伝える。
人間のチームのように、AIを手分けして働かせる、という話でした。
あれから半年ほど。
同じ「チームプレイ」でも、やり方がずいぶん変わりました。
今は、自分でタブを開きません。会話の途中で「これ、設計に投げて」と言うだけです。
ある夜の実例
2026年10月21日の夜、PHPに重大な穴が見つかったというニュースが入り、私はAIと一緒にその対応をしていました。
サーバーを調べ、危ないサイトを一時的に閉じ、記事にまとめる。
その途中で、ふとアイデアが浮かびました。
「今回の経験、教室のコースにできるんじゃないか」
以前なら、ここで手が止まっていたと思います。
今の作業を中断して、新しいタブを開いて、一から事情を説明して……となると、面倒になって後回しにしてしまう。
この夜は、こう言っただけでした。
「設計の人に投げて、まとめさせるのもいいかもしれないな」
すると、今話しているAIが、
- アイデアを台帳に1行メモし
- 「強みに入れますか?」「誰に先に投げますか?」とクリックで選べる質問を出し
- 私が選んだあと、「設計」の役割を持った新しいセッションを自分で立ち上げて、仕事を渡しました
私はそのまま、もとの記事づくりを続けました。
設計のセッションは裏で動き、終わったら知らせが戻ってくる。そういう段取りです。
前の記事と、何が変わったのか
| 前(2026年5月の記事) | 今 | |
|---|---|---|
| セッションを立ち上げる人 | 自分(タブを開いて起動) | AI(会話の中で立ち上げる) |
| 事情の説明 | 自分が一から打ち込む | AIが引き継ぎ書を書いて渡す |
| 役割 | 最初の一言で伝える | 「性格」(出力スタイル)を着せる |
| 進み具合の確認 | タブを見て回る | 終わったら知らせが戻ってくる |
| 自分の仕事 | 指示と見回り | 判断と承認だけ |
いちばん大きいのは、「割り振り」そのものをAIがやってくれるようになったことです。

カギは「引き継ぎ書」
別のセッションは、今の会話を見ていません。まっさらな状態で始まります。
だから、仕事を渡すときの「引き継ぎ書」の出来で、結果が決まります。
この夜、AIが設計のセッションに渡した引き継ぎ書には、こんなことが書かれていました。
- 何をするか:コースの対象と本数、名前の候補、HPの「強み」に入れる文案
- どこに置くか:教室の部屋の中に「設計案」として1ファイル
- 終わりの形:最後に、私に選んでほしい点をクリック式で聞く。デザイナーに渡す短い依頼文も添える
- やってはいけないこと:HPやデザインのファイルは直接いじらない
- これまでの経緯:なぜこの案が出たか、すでに決まったこと、参考になる資料の場所
人間の職場でも同じですよね。
「これやっといて」だけで渡すと、たいてい思ったものは返ってきません。
何を、どこまで、どの形で、何をしないで。これがそろうと、AIも迷わず動けます。

役割は「性格」で着せる
Claude Codeには「出力スタイル」という、セッションに役割と口調を着せる仕組みがあります。
Claude Codeの「出力スタイル」ってなに? セッションに着せる「役割と性格」の服
私の環境では、「設計」「デザイナー」「秘書」などの性格を用意しています。
新しく立ち上がったセッションは、最初に自分で「設計」の服を着てから仕事を始めます。
服を着せると、口調だけでなく、見る観点が変わります。
設計なら「全体の構造は?」「決めることは何?」、デザイナーなら「どう見せる?」。
同じAIでも、役割がはっきりすると、返ってくるものの質が上がります。
チームプレイのルール
便利な反面、AIどうしで勝手に進むと事故も起きます。
私は次の線を引いています。
| ルール | 理由 |
|---|---|
| 同じファイルを2つのセッションで触らない | 書き換えがぶつかる |
| 公開・送信・支払いは、人のOKをもらってから | 外に出たものは取り消せない |
| 戻ってきた報告は、うのみにしない | 報告は「証拠」ではない。成果物を開いて確かめる |
| 迷ったら、クリックで選べる質問にして人に聞く | 判断は人がする。ただし、答えやすい形で |
特に3つ目は大事です。
「終わりました」という知らせが来ても、実際のファイルを見るまでは終わっていません。
これは人間のチームでも同じですね。
人間の役割は「判断と承認」になった
前の記事のころ、私の仕事は「指示を出して、見て回る」ことでした。
今は、
- アイデアを口に出す
- AIが出してくる質問に、クリックで答える
- 戻ってきた成果物を見て、OKを出す
これだけです。
以前、秘書役のセッションを「受付」にしたら、頭の負荷がぐっと下がった、という話も書きました。
1つのセッションから配下のAIを動かしたら、頭の負荷がぐっと下がった
今回はその先です。
受付が、そのまま担当者を呼んで仕事を渡してくれる。
思いついたアイデアが、その場で「誰かの仕事」になり、自分は今の作業を続けられる。
この感覚は、一度味わうと戻れません。
始めるなら
いきなり全部をまねる必要はありません。
- 役割を2つだけ決める(例:「書く人」と「まとめる人」)
- 引き継ぎ書の型を決める(何を・どこに・どの形で・何をしないで・経緯)
- 人のOKが要るものを決める(公開・送信・お金)
この3つがあれば、AIのチームプレイは、思っているよりずっと手軽に始められます。
