好きな音は、一本の血筋で繋がっていた|FM音源YM2203の話

ずっと別々だと思っていた

若い頃に聴いた、PC98のアドベンチャーゲームの音楽。

最近ハマっている、ダライアスの重低音。

ジャンルも時代も違う。好みがバラバラなだけだと思っていた。

でも先日、気づいてしまった。

どっちも、同じFM音源チップに行き着く。

YM2203、通称OPN

PC98の標準的な音源が、これだった。

私が好きだったPC98のBGM。その作曲家の一人、梅本竜さんは、まさにこのOPN系のFM音源を使いこなした人だった。名作と呼ばれるアドベンチャーの、あの音を作った人。

一方のダライアス。アーケードの初代は、なんと同じYM2203を2個積んでいた。

本来モノラルのチップを2つ使って、無理やりステレオにしている。あの腹に響く音の正体が、これだった。

同じチップ。かたやしっとりしたアドベンチャーのBGM。かたや体を殴ってくるシューティングの重低音。

こんなに違うのに、根っこは同じだった。

好みは、偶然の寄せ集めじゃなかった

好みって、偶然の寄せ集めだと思っていた。これが好き、あれも好き、バラバラに。

でも違った。自分でも気づいていない筋が、一本通っていた。

FM音源の、あの少しザラっとした金属質な響き。たぶん私は、ずっとそれに反応していた。ジャンルじゃなく、音の質感に。

自分の「好き」の真ん中を探す

これ、人の「好き」って全部そうかもしれない。

バラバラに見える趣味も、仕事の選び方も、本人が言葉にできていないだけで、奥に一本、筋が通っている。

自分の「好き」を並べて、その真ん中を探してみる。

そこに、自分でも知らなかった自分がいる。

私の場合は、それがYM2203だった。

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