デザインで入った子が、コードにハマった話——入口の適性は、その人の適性じゃない

デザインで入った子が、コードにハマった話——入口の適性は、その人の適性じゃない

「Webデザインをやりたいです」

そう言って、教室に来た生徒さんがいました。

イラストレーター、フォトショップ、Figma。
順番に触っていきました。

センスは、あった。
でも、ある時期から、表情が曇りはじめたんです。

「向いてないのかもしれない」と、本人が言い出した

デザインって、実は厳しい世界です。

正解がない。
「もっと良くできるはず」が、どこまでも続く。
自分の作ったものを、自分でダメ出しし続ける作業でもある。

その生徒さんも、だんだん手が止まるようになりました。

「私、向いてないのかもしれません」

——この一言、独学だったら、たぶんここで終わっていました。
「デザイン、無理だった」で、パソコンから離れていく。

隣で見ていたから、気づけたこと

でも、私は隣で見ていました。

作業の様子を、ずっと。

そして、あることに気づいたんです。

この子、きっちり決まっていく作業のとき、すごく生き生きしてる。

デザインで悩んでいるときより、
「ここをこう並べる」「この通りに組む」——
そういう、答えがカチッと決まる作業のときに、目が違った。

「じゃあ、コードやってみようか」

そこで、振り方を変えてみました。

コーディングです。
HTML、CSS。

……ハマりました。

書いた通りに、動く。
決めた通りに、並ぶ。
デザインのときの、あの「終わらない迷い」がない。

「これ、楽しいです」

久しぶりに、その言葉を聞きました。

そこからは早かった。
組む、動かす、また組む。
最初に来たときには、想像もしなかった場所まで、進んでいきました。

誤解してほしくないこと

念のため、言っておきます。

「デザインは難しくて、コードは簡単」——そういう話ではありません。

コードだって、簡単じゃない。

これは、優劣の話じゃなくて、相性の話なんです。

同じ人でも、入口で触ったものが合うとは限らない。
デザインで挫折しかけた人が、コードで輝くこともある。
その逆だって、当然あります。

「入口の適性」で、自分を決めつけないでほしい

ここが、今日いちばん伝えたいことです。

最初に「これをやりたい」と思って始めたもの。
それが自分に合わなかったとき、人は「向いてなかった」と思ってしまう。

でも違う。

合わなかったのは、その入口であって、
あなた自身が「向いてない」わけじゃない。

隣の扉を開けたら、驚くほどしっくりくる——
そういうことが、本当にあります。

一人だと、この切り替えが難しい

正直に言います。

この「振り方を変える」判断は、一人だと、なかなかできません。

なぜなら——
自分の生き生きしてる瞬間って、自分では見えないから。

悩んでいるときは、悩んでいることしか見えない。
「向いてない」という気持ちに、飲み込まれてしまう。

だから、隣で見ている人が要るんです。

「今、デザインより、こっちの作業のとき楽しそうだよ」
「ちょっと、別のこと試してみようか」

——そう言ってくれる誰かが。

おわりに

もし今、あなたが何かを学んでいて、
「向いてないのかもしれない」と感じているなら。

それ、入口が合ってないだけかもしれません。

隣の扉を、まだ開けていないだけ。

その扉を一緒に探すのが、私の仕事だと思っています。


(この記事は、教室で出会った複数の生徒さんの姿をもとにした、象徴的なお話です。特定の個人を描いたものではありません)

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